虫歯とは、個人の意思によって自由に治療方法選ぶことのできる病気の一つです。一見聞こえは良いですが、裏を返せば知識がなければ取り返しのつかないことになってしまうということです。
「そんなの歯科医に相談すればいいこと」という考えの方もいると思います。ですが、私の経験上「歯科医の腕はピンからキリまである」と言えます。
言ってしまえば、削らなくていい歯を削ったり、必要のない処置をしたりする歯科医もいます。「歯科医の保険内治療は点数が低く、数をこなさなければ成り立たない」「高額な保険外治療を受けさせたい」「新しい治療法は知っているが技術がない」など理由は様々です。
コンビニより歯科医院の数の方が多い?
全国の歯科医師の数は約10万人、コンビニの数より歯科医院の数は多いと言われており、一日一軒のペースで歯科医院が廃業しているのが現状です。もしあなたが虫歯になって、廃業寸前の歯科医に治療をお願いしたいと思いますか?
腕が良くて、最新の治療、患者と親身に相談に乗ってくれる歯科医は必ずいます。爪や髪の毛と違って、歯は削ってしまうと伸びたりしません。それぞれ一人に一つしかない大切な体の一部だと思ってください。
まずは、自分の虫歯の状態を把握する。次に、数多くある治療法を知る。そして、どの治療法が自分に合っているか、自分にとって満足いくか考える。あきらめずに探しましょう。必ず満足のいく治療法・歯科医は存在します。
数多くある虫歯の治療方法
C1~C3の虫歯治療の大半は、プラスチック、金属、セラミックなどの人工物を、削った歯に詰めるといった治療方法が一般的です。
治療には保険内治療と保険外治療があり、その種類も様々です。簡単にいえば、お金をかければいい治療ができて、お金をかけなければそれなりの治療になるということです。
虫歯になったらすぐに歯科医に行くのではなく、まず自分に合った治療方法を選ぶことから始めることが肝心です。
コンポジットレジンによる虫歯治療
液体状の特殊なプラスチックを、削った部分に流し込む治療方法。基本的には、噛む時にあまり力がかからない、前歯部分の中切歯、側切歯、犬歯の治療に使われることが多いです。
また、奥歯の臼歯に金属やセラミックのインレーを詰める際、型が完成するまでの代用詰め物としても使われます。
最近では、保険適用外で強度が高いコンポジットレジンを使用した奥歯の治療を行っている歯科医院もあるようです。1本数万円と高いですが、虫歯が再発するリスクが極端に下がるのでお勧めです。
コンポジットレジン治療の手順
- 虫歯を削るなどの治療
- コンポジットレジン充填
コンポジットレジンのメリット
- ほとんどの場合は保険内治療なので安価
- 削る部分が少なく、治療時間も短い
- 色も白ベースでいろいろあり、見た目は綺麗
- 金属を使用しないのでアレルギーの心配もない
コンポジットレジンのデメリット
- 強度がない
- 年月が経つにつれ変色が出来る場合がある
- 歯科医の腕次第で見た目の完成度が大きく違う
コンポジットレジンの治療費
700円~1000円(保険適用)
メタルインレー(金属)による虫歯治療
「金銀パラジウム合金」という銀色の金属を使用しており、保険内治療で行う歯科医院がほとんどで、一般的な虫歯治療いっていいほど普及しています。
主にコンポジットレジンでは強度不足の臼歯などに使われることが多い治療方法です。
メタルインレー治療の手順
- インレー用の歯型をとる
- 虫歯を削るなどの治療
- インレーがしっかり詰まるように広め深めに削る
- インレーが出来るまでのフタ(コンポジットレジン)を充填
- 数日後フタを削って接着剤でインレーを詰める
メタルインレーのメリット
- 保険内で治療でき、費用が抑えられる
- 奥歯などの力のかかる臼歯でも十分耐える強度がある
メタルインレーのデメリット
- 金属の為、光を反射させるなどで目立つ
- 金属の溶け出しがあり歯茎に影響を及ぼす場合がある
- 接着剤は月日が経つにつれ溶けるので隙間が出来き二次カリエス(虫歯)が出来やすい
メタルインレーの治療費
1300円~1800円(保険適用)
ゴールドインレー(金属)による虫歯治療
「金合金」や「白金(プラチナ)加金」という金色の金属を使用しており、銀色のインレーで使用した「金銀パラジウム合金」とは違い、錆びにくく金属の溶けだしもない。
また適度の硬度の為、本来の歯の硬さに近く適合しやすい点も魅力です。ただし、こちらは必ず保険外治療の為、非常に高額です。
ゴールドインレー治療の手順
- インレー用の歯型をとる
- 虫歯を削るなどの治療
- インレーがしっかり詰まるように広め深めに削る
- インレーが出来るまでのフタ(コンポジットレジン)を充填
- 数日後フタを削って接着剤でインレーを詰める
ゴールドインレーのメリット
- 金属の溶けだしがなく歯茎やアレルギーにも影響は少ない
- 歯に近い硬度の為適合しやすいく
ゴールドインレーのデメリット
- 銀以上に光を反射し目立つ
- 保険外治療の為非常に高額
- 接着剤は月日が経つにつれ溶けるので隙間が出来き二次カリエス(虫歯)が出来やすい
ゴールドインレーの治療費
30,000円~50,000円
セラミックインレー(陶器)による虫歯治療
セラミックとは陶器・焼物のことで、金属のインレーと同じ手順で詰めていきます。見た目は申し分なく綺麗ですが、割れやすいといった弱点も在ります。こちらも、保険適用外の治療です。
セラミックインレー治療の手順
- インレー用の歯型をとる
- 虫歯を削るなどの治療
- インレーがしっかり詰まるように広め深めに削る
- インレーが出来るまでのフタ(コンポジットレジン)を充填
- 数日後フタを削って接着剤でインレーを詰める
セラミックインレーのメリット
- 見た目が本物の歯と見間違えるほど綺麗
- 汚れ(プラーク)が付きにくい
- 金属特有の溶けだしがなく歯茎やアレルギーにも影響は少ない
セラミックインレーのデメリット
- 治療費が非常に高額
- 強い力が加わると割れる場合がある
- 歯を削る量が比較て多い
- 接着剤は月日が経つにつれ溶けるので隙間が出来き二次カリエス(虫歯)が出来やすい
- 歯科医の腕次第で見た目の完成度が大きく違う
セラミックインレーの治療費
30,000円~50,000円
ハイブリッドインレー(陶器+レジン)による虫歯治療
セラミック(陶器)の粉末とコンポジットレジンを混ぜたインレーです。レジンを使っていますが、液体ではなく固まった状態で他のインレー同様に接着剤で詰めるをいう形になります。
セラミックインレーより少し柔らかい為、周囲の歯との相性もいいとされています。保険適用外の治療です。
ハイブリッドインレー治療の手順
- インレー用の歯型をとる
- 虫歯を削るなどの治療
- インレーがしっかり詰まるように広め深めに削る
- インレーが出来るまでのフタ(コンポジットレジン)を充填
- 数日後フタを削って接着剤でインレーを詰める
ハイブリッドインレーのメリット
- 見た目が本物の歯と見間違えるほど綺麗
- 丁度いい硬度の為、他の歯と馴染みやすい
- 金属特有の溶けだしがなく歯茎やアレルギーにも影響は少ない
ハイブリッドインレーのデメリット
- 治療費が非常に高額
- 変色がある
- 接着剤は月日が経つにつれ溶けるので隙間が出来き二次カリエス(虫歯)が出来やすい
- 歯科医の腕次第で見た目の完成度が大きく違う
ハイブリッドインレーの治療費
30,000円~50,000円
歯を削らずに虫歯を治療する3Mix-MP法
現在、虫歯治療法の一つとして最も注目されているのが3Mix-MP法です。3Mix-MP法の特徴は、とにかく歯を削らないということです。
歯を削らないで自己治癒力で治す
インレーによる通常の虫歯治療は、う蝕し脱灰した箇所とその周囲を削り取り、徹底的に虫歯菌を除去します。さらにインレーを固定するスペース確保のため余計歯を削ります。
しかし、3Mix-MP法は虫歯の進行がひどい部分だけを削り、そこに細菌を殺す三種の抗菌剤(3Mix)とマクロゴール(M)・プロピレングリコール(P)のを混ぜ合わせた特殊な薬を塗ります。
虫歯を根本から削り取ってしまう治療法とは違って、人間が本来持つ自然治癒力を使った治療法です。ただ単にあまり歯を削らないで済むだけではなく、麻酔が大きな負担となる高齢者にも容易に治療が出来るメリットもあります。
保険が効かない3Mix-MP法
しかし現時点では、3Mix-MP法の安全性、有効性等は確かめられておらず、一般的な治療法という容認はされていません。そのため治療も保険外治療となっています。
また、この療法を取り扱うにはCDRG友の会による審査を通らないといけないなどの基準もあり、なかなか3Mix-MP法による虫歯治療法が広がっていないというのも現状です。
一方では、許可なく無断で3Mix-MP法まがいの治療を行っている歯科医も少なくはないと言われています。治療を受ける私たちに本物を見抜く力が必要な虫歯治療法と言えるでしょう。
3Mix-MP法の治療方法
- 遊離エナメル質を除去する
- う蝕部分を12%EDTAで消毒し、水分を除去する
- 3Mix-MP薬剤を塗布し、セメントで裏層
- 接着性のセメントで充填
- 残存する感染象牙質の細菌は薬剤が殺菌するのを期待して残す
- 経過観察
- 症状が軽快しない場合は通常の術式に従って抜髄になる場合もある
まとめ
私自身、虫歯治療には深いこだわりがあり、歯科医師や専門家でもないのにここまで調べつくしました。虫歯になり、歯を失う恐怖を味わい、納得のいく治療法を行っている歯科医を探しては治療を繰り返す。そんな事をしているうちに知識が付きました。
特に注意して頂きたいのがメタルインレーによる虫歯治療。こうして比較してみると、メタルインレーは保険が適用されるので安く、一般的な虫歯治療方法です。それは今でも変わりません。
ですが、最善の虫歯治療ではありません。デメリットにも書いたように、治療後の虫歯の再発リスクは非常に高いんです。
成人の歯は一度失うと、二度と生えることはありません。それこそ、高額なインプラントか入れ歯という選択肢を迫られます。多少高額でも、最善の治療法をお勧めします。
そして何よりも、未然に虫歯を防ぐことが大切です。日頃のケアを心がけましょう。
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