高齢者の食事介助のやり方!姿勢のポイントや注意点について

高齢者の食事介助のやり方!姿勢のポイントや注意点について

人が生きていくためには、誰しも食べ物を食べるという動作をしなければいけません。ですが、誰かの手を借りなければ食事をすることが出来ない人もいます。そういった人に対して、食事の手助けをすることを食事介助といいます。

その中でも、食事介助を必要としている方が最も多い介護という現場にスポットを当て、食事介助について様々な情報をご紹介していきます。

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食事によって体内に必要な栄養を補給

食事を行う最大の目的は健康維持や体質改善です。食べ物を摂取することによって、体内に必要な栄養を補給し、身体中の細胞を生成する元となっています。

また、怪我などをしている場合、自然治癒に必要な栄養やエネルギーなどを、負傷箇所へ優先的に送りこむことで早期回復にも繋がります。こうして、人は食事によって得られる栄養で、日々失われるものを生成して生きています。

介護が必要な高齢者などは、若い人に比べると栄養によって生成される細胞の数は圧倒的に少ないです。ゆえに、若い人以上に毎日の食事をしっかりと摂り、十分な栄養を吸収しなければいけないのです。

食事によって体内に必要な栄養を補給

食事介助は食事を楽しんでもらうこと

食事をする目的は栄養を補給するという理由だけではありません。食べる事の楽しみを感じることも、介護において大切なことです。お年寄りにとっては、毎日おいしいご飯を食べることが幸せだと感じる方も多いでしょう。

食事介助は、自ら食事が出来ないお年寄りに、食事という幸せな時間を楽しんでもらう、大切な役割も担っています。お年寄り一人ひとりに合わせた食事介助を行い、食べる喜びを感じてもらえるようにしましょう。

食事介助が必要な高齢者

介護において食事介助が必要な高齢者とはどういった方が該当するのかを紹介します。

摂食嚥下障害の方

そもそも摂食とは、先行期(食べ物を認知する段階)から始まり、捕食期(食べ物を口の中に取り込む段階)、咀嚼期(食べ物を噛む段階)、口腔期(食べ物を喉まで運ぶ段階)、咽頭期(食べ物を飲み込む段階・嚥下反射)、食堂期(食べ物を胃まで運ぶ段階)までの一連の動作のことをいいます。

また、摂食嚥下障害の症状は、摂食の流れのなかで区分されています。

認識障害

目の前の食べ物を食べ物と認知できなくなったり、どうすれば食べられるかといった食べる方法を忘れてしまう状態。

捕食障害

食べ物を口の中に取り込む際に、唇や舌に麻痺があるため口から食べ物がこぼれ落ちたり、飲み込む際の口の中の動作が困難にな状態。

食塊形成障害

食べ物を飲み込みやすいように噛んだりして食塊にすることが、舌や頬粘膜などの麻痺によって困難な状態。

食塊移送障害

食べ物を飲み込むもうとする際、舌の麻痺によって食塊をまとめたり、食塊を喉の奥に送り込むことが困難な状態。

咽頭通過障害

飲み込む際に、飲み込む動作のタイミングがずれてしまい気管に入ってしまうこと。

その他にも具体的な摂食嚥下障害の症状としては、食事中にむせたり咳こんだ入りする、飲み込んだ後も口の中に食べ物が残っている、食事が喉につかえる、噛まなくても良い食べ物を好むようになる、食べることに疲れを覚える、痰が増えるなど様々です。

このように、摂食嚥下障害の方は食べるという一連の動作を行うことが困難で、介護者による食事介助を必要としています。

認知症の方

摂食嚥下障害でなくても、認知症の症状がある方も場合よっては食事介助を行う必要があります。中でも多いのが、食事中に寝てしまう場合。そういった時は、声をかけたり背中をさすったりして優しく起こすといいでしょう。

胃ろうの方

胃ろうだからと言って、口から食べ物を食べていけないという決まりはありません。口を使って食べ物を食べるということも大切なリハビリのひとつなので、可能な限り口を使った食事を行う方がいいでしょう。

胃ろうの方の場合は、基本的な栄養補給は胃ろうカテーテル(管・チューブ)から摂取し、デザートや軽食などは口からという方法がおすすめです。

通常の食事介助より一度に与える量を減らし、ひと口ずつゆっくり与えるようにしましょう。

食事介助前の準備

食事介助とは、食事中の手助けだけではなく、食事前・食後のお年寄りの状態管理も含まれます。このページでは実際に食事介助の前に行う準備などをご紹介します。お年寄りが気持ちよく食事を行えるように、忘れず行うようにしましょう。

しっかり目を覚ましているか?

眠いままの食事はとても危険です。意識が眠ることに集中していると、上手く食べ物を飲み込むことができなかったりします。また、食中に眠ってしまう原因にもなりますので、必ずしっかり目を覚ましている状態で、食事を与えるようにしましょう。

トイレは事前に済ませたか?

食事中にトイレに行きたくなると、食べることに注意が行かなくなります。しっかり食事に集中してもらうためにも、事前にトイレを済ませる必要があります。 また、介護施設などで食事介助を行う場合は、少ない職員で多くの入居者の食事介助を行う必要があります。1人の高齢者のトイレに付き添っていては、他の入居者の食事にも影響が有るので、介護者の立場にとっても事前に排泄は済ませておきましょう

口の中は湿っているか?

食事をする時、口の中が渇いている状態だと上手く飲み込めなかったりします。これは高齢者に限ったことではなく、私たちでも同じですよね。ですので、事前に水やお茶などを飲ませるようにして、必ず口の中が湿ってい状態にしましょう。

口の中は清潔か?

私たちでも、朝起きた時の口の中はネバネバしていたりと、口の中が不快な状態の時がありますよね。そういった場合は、歯磨きやうがいをするなどをして改善します。食事介助を受けるお年寄りも同じ状態かもしれないので、軽くでいいので歯磨きをしてもらったりしたりうがいをしてもらったりしましょう。

入れ歯が必要な方は装着できているか?

当然ですが、入れ歯がないと食べ物を噛むことが困難です。食事の際に入れ歯が必要な高齢者には、忘れずに入れ歯を装着してもらいましょう。介護施設などで多くの入居者の食事介助を行う場合は、大変ですが一人ひとり入れ歯の確認を行ってから食事介助を行いましょう。

テーブルと椅子の高さは適切か?

食事介助を行う際に最も重要なことは姿勢です。お年寄りが無理なく食事介助に最適な姿勢を保てるように、テーブルや椅子の高さを調整しましょう。

食事の温度は丁度いいか?

料理の温度が熱すぎては、高齢者が警戒して食べなくなったりします。また、冷まそうとする時間も食事介助においては出来るだけ省きたい時間です。逆に冷えすぎてはせっかくの料理が美味しく感じないため、食事量が減ってしまうこともあります。食事は丁度いい温度で食べてもらうようにしましょう。

健康状態は安定しているか?

食事の前に体温や便の状態を確認し、高齢者の健康状態をチェックしましょう。熱があったり、下痢をしている場合は、無理に食事を与えない方がいい場合もあります。様態に合わせておかゆにするなど食事のメニューも変えたりもしましょう。

食事に集中できる環境になっているか?

テレビが付いていたりすると食事以外に注意がそれてしまいます。そうなると、誤嚥を起こしたり、食事が長引いたりしてしまいます。食事介助は食事だけに集中できる環境で行うようにしましょう。

食事介助の正しい姿勢

食事介助で一番大切なのが姿勢です。上体が反り返っていたり、背筋が丸まっていたりすると、食べ物を飲み込んだ時に気管へ流れてしまう誤嚥に繋がります。誤嚥を防ぐためにも、高齢者の姿勢を正してから食事介助を行うようにしましょう。

座った状態での食事介助の正しい姿勢

座った状態での食事介助の正しい姿勢
  • あごは引く
  • 背筋は真っすぐ伸ばす
  • 足が床にちゃんと着いている状態
  • イスの高さは膝が90度に曲がる高さ
  • テーブルの高さは、手をテーブル乗せた時にひじが90度に曲がるくらい

上記は食事介護をする上での理想的な姿勢ですが、高齢者の様態に合わせて適切な姿勢をとるようにしましょう。

寝た状態での食事介助の正しい姿勢

寝たきりのお年寄りなど、イスに座っての食事介助が難しい場合はベッド上で食事介助を行います。ベッド上での食事介助の理想的な姿勢は次の通りです。

寝た状態での食事介助の正しい姿勢
  • 本人が苦しくない範囲でベッドの背もたれを起こす
  • 一度身体を引き上げて腰の位置を調整する
  • 頭の下にをはさみあごが引くように調整する

ベッド上での食事介助も同様に、本人が苦しくない姿勢で行うようにしましょう。

食事介助の手順

食事介助前の準備が終わり、食事介助に適した姿勢に正すことができたら、食事介助を行います。その際のポイントをいくつかご紹介します。

介助者は本人と同じ目線で

介助を行う介助者は、本人と同じ目線になるようして食事介助を行いましょう。同じ目線にすることで、本人の様子を正面から確認することができます。

ひと口の目安はスプーン一杯

ひと口が多すぎては飲み込むことができなかったり、噛む動作が大変になります。逆に少なすぎては嚥下反射が起きなかったり、食事介助に時間がかかりすぎてしまいます。スプーン一杯を目安に、同じ量を口に運ぶようにしましょう。

口より下の位置から口に運ぶ

口より上の高い位置から与えると、あごが上がり食べ物がそのまま喉まで流れてしまい、誤嚥を起こす危険性があります。ですので、必ず口より下の位置から食べてもらうようにしましょう。そうすると、自然とあごが引いた状態となり、誤嚥を防ぐことが出来ます。

飲み込んだこと確認してから次のひと口

次のひと口を与える与えるタイミングは、先ほど与えたひと口が完全に飲み込んだことを確認してからです。初めのうちは、口の中を確認しながらひと口ずつ与えるといいでしょう。慣れてくると、本人の様子で飲み込んだかどうか分かるようになります。

食事時間は45分以内が目安

1度の食事時間の目安は45分です。長くなりすぎると途中で疲れて眠ってしまう方も少なくありません。高齢者にとっては食事はそれだけ大変な動作なんです。

食事介助後について

お年寄りの中には、食事が終わった後でも口の中に食べ物が残っていたりすることがあります。ですので、食事介助後には口の中を確認するようにしましょう。

また、口や喉の奥に食べ物が残っていた場合、気管へ流れてしまうことを防ぐためにも、食事介助後30分~1時間は上体を起こした状態でいてもらうようにしましょう。

ベッド上で食事介助を行う場合も、すぐにリクライニングを倒さず食事介助の姿勢でギャッジアップを保つようにするといでしょう。

嘔吐しやすい方について

食事中の姿勢が悪かったり体調が悪かったりすると、食後に嘔吐する場合もあります。嘔吐の際に横になっていたり、あごが上がっていたりすると、窒息してしまう事もあり大変危険です。あらかじめ嘔吐しやすい方が分かっている場合は、食後も食事介助の姿勢をしばらく保つようしてもらい、様子を見るようするといいでしょう。

口腔清掃について

歯ブラシが使える方は食後に歯磨きをするようにしましょう。また入れ歯の方は、毎食後にはずして水で洗いながら磨きます。入れ歯を数日も付けたままにすると、細菌が繁殖して歯周病の原因にもなります。歯周病から他の病気を併発する場合もあるので、1日1回は必ず入れ歯を洗浄しましょう。

食事介助の食具について

食事介助の時に使用するスプーンなどの食具は、できるだけ介護専用の食具を使用することをおすすめします。

スプーンを噛んでしまう方におすすめなシリコン食具

スプーンを噛んでしまう方におすすめなシリコン食具

食事介助中にスプーンや箸を噛んでしまう方におすすめなのがシリコン製の柔らかい食具です。プラスチック製のスプーンであれば割れてしまいますが、シリコン製なので破損する心配はいりません。

しっかり握れるグリップが付いたスプーン

しっかり握れるグリップが付いたスプーン

スプーンの持ち手が細いと、握る際にどうしても指の力が必要になりますよね。ですが、グリップが付いた持ち手が太いスプーンなら、指の力はほとんどいらず、お年寄りでもしっかり握ることができます。

持ち手が曲がるスプーン

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使う人に合わせて、持ち手部分の角度が自由自在に曲げられるちょっと変わったスプーンです。手首の関節が曲げられない方などでも、無理ない腕の角度で食事ができます。

補助がついている箸

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子供が箸の使い方を練習する際に使用する補助が付いた箸も食事介助にはおすすめです。力を入れずに軽く握るだけで簡単に食べ物がはさめるので、お年寄りでも自分の力で食事を楽しむことができます。

食事介助時のトラブルと対処法

食事介助の時によく見られるトラブルと、その対処法をご紹介します。

食事を拒否する場合

食事介助以前に食事を摂ることを拒む場合があります。考えられる原因としては、食事介助のやり方に問題がある場合が多いのですが、その他にも食事環境や食事内容に不満があったり、食事を摂ることそのものに関心がない場合もあります。

食事を拒否する場合の解決方法は、まずは本人の意見をしっかり聞くことから始めましょう。食事介助のやり方が不満であればどういった事が嫌なのか。食事環境や食事内容が不満であれば、どういう風に改善されれば食べるようになるのか。食事を摂ることに関心がない場合は、他に何か理由があるはずです。

食事とは関係のない、家族の事、入居者同士の事、介護職員など、人間関係が原因だったりもします。

食欲がない場合

食事以外に気になることがある場合や睡眠が十分に取れていないなど、食欲以外に関係する場合が多いです。その他にも、食事内容の好みが合わない場合や間食をしている場合、生活リズムが乱れているなどが原因です。

食欲がない場合は、無理に食べさせようとするのではなく、好きな食べ物を少しずつ与えるといいでしょう。睡眠不足、間食や生活リズムの乱れが原因の場合は、徐々に正すよう本人をサポートしましょう。

食欲が無くても食べやすい汁物や水分などを中心に与えるといいかもしれません。

食事介助中に眠ってしまう場合

食事中に眠ってしまう場合も頻繁にあります。主な原因としましては、身体機能・摂食機能の低下によって、食事をすることが大きな負担となっている事があります。その他にも、薬の副作用であったり、睡眠不足が原因という場合もあります。

解決方法としては、食事中の声かけや背中をさするなど、常に意識が保たれるようにするといいでしょう。また、食事中に深呼吸や、両腕の軽い運動も効果的です。食事量を減らしたり、食事時間を長引かせないようする事も重要です。

食事が途中で止まってしまう場合

食べている最中に噛む動作が止まってしまい、口が開かなくなる場合がありますが、飲み込もうとしているけどなかなか飲み込めない状態と考えられます。ひと口が多すぎたり、口の中が渇いている事が原因です。

まずは、ひと口はスプーン一杯と決めて、飲み込んだら次のひと口ということを徹底しましょう。また、「ご飯 → 味噌汁 → ご飯」のように、固形物と水分を交互に与えることも嚥下を促すことができます。

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